夏に増える電気の火事|コンセントに潜むトラッキング現象という盲点
夏になると、電気に関わる火災の相談が増えます。冷房を一日中つけっぱなしにし、扇風機や冷蔵庫もフル稼働する季節です。電気を使う量が一年で最も多くなる時期だからこそ、電気を原因とする火事も起こりやすくなります。
その中でも、多くの人が見落としているのがトラッキング現象です。名前を聞いたことがない方も多いかもしれませんが、家庭でもオフィスでも起こりうる、身近な火災原因のひとつです。
コンセントから火が出る「トラッキング現象」とは
トラッキング現象は、コンセントに差したプラグの根元で起こります。
プラグとコンセントの隙間には、時間が経つと少しずつホコリがたまっていきます。そこに湿気が加わると、本来は電気が流れないはずのプラグの刃と刃の間に、わずかな電気が流れ始めます。これが繰り返されるうちにプラグの表面が炭化し、やがて発火に至ります。
怖いのは、スイッチを入れていなくても、人がその場にいなくても起こる点です。コンセントに差してさえいれば、留守の間でも、寝ている間でも進行します。気づいたときには焦げ臭さや黒い跡が出ている、というケースも珍しくありません。
なぜ夏に起こりやすいのか
トラッキング現象は湿気が引き金になります。梅雨から夏にかけての湿度が高い時期は、それだけ発生の条件がそろいやすくなります。
加えて、夏は差しっぱなしの家電が増える季節です。エアコンは冷房シーズンの間ずっと差したまま、冷蔵庫は一年中抜くことがありません。扇風機やサーキュレーターも、毎日使うためコンセントに差したままにしている家庭が多いはずです。
長期間抜かないコンセントほど、ホコリはたまり続けます。湿度が高く、差しっぱなしの家電が多いという夏の条件が、トラッキング現象のリスクを押し上げています。
特に注意したい場所
トラッキング現象が起きやすいのは、普段目に入らない場所にあるコンセントです。
家具やテレビ台の裏に隠れたコンセントは、長年抜き差ししないままホコリがたまりがちです。冷蔵庫の裏は、その代表格といえます。設置してから一度も動かしていないという家庭も多く、ホコリと湿気がたまりやすい環境になっています。
水まわりも見落とせません。洗濯機のまわり、キッチンのコンセント、観賞魚の水槽の近くなど、湿気が発生しやすい場所は特に注意が必要です。加湿器を使う場所も同様に気をつけたいところです。
こうした場所は、日常の掃除の手が届きにくいという共通点があります。見えないからこそ、意識して確認する必要があります。
今日からできる予防策
トラッキング現象は、日頃のちょっとした習慣で防げます。
まず、定期的にプラグを抜いて、根元のホコリを乾いた布で拭き取ることです。これだけで発生リスクは大きく下がります。半年に一度でも習慣にしておくと安心です。
長期間使わない電化製品は、コンセントから抜いておきましょう。使っていない機器を差しっぱなしにしておく理由はありません。抜いておけば、トラッキング現象も待機電力も同時に減らせます。
たこ足配線が多い場所も見直したい部分です。差し込み口にホコリがたまりやすく、容量オーバーによる別の発熱リスクも抱えています。トラッキング防止用のカバーが付いたプラグや、シャッター付きのコンセントを活用するのも有効な手立てです。
家電だけでなく、建物側にも目を向ける
ここまでは家庭で使う家電やコンセントの話をしてきましたが、電気を原因とする火災は、建物の設備そのものが関わることもあります。
築年数の経った建物では、壁の内部を通る配線や分電盤が古くなっていることがあります。目に見えない部分の劣化は、住んでいる人や使っている人には気づきにくく、日頃の掃除では対処できません。テナントビルやマンション、店舗などでは、共用部分の電気設備がどういう状態にあるかまで把握できている管理者は多くないのが実情です。
トラッキング現象への対策は個人でできますが、建物全体の電気設備や消防設備が正常に機能するかどうかは、専門的な点検で確認する領域です。火災報知設備が正しく作動するか、初期消火の設備が整っているかは、いざというときの被害を大きく左右します。
小さな確認の積み重ねが火事を防ぐ
トラッキング現象は、コンセントを抜いて拭くという小さな習慣で防げる火災です。特別な道具も知識もいりません。夏は電気を使う量が増える分、こうした身近なところにも目を向けておきたい時期です。
合同会社ワイオーテックでは、消防設備の点検を通じて、建物の安全を守るお手伝いをしています。「建物の電気設備や消防設備の状態が気になる」「一度きちんと確認しておきたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
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