防災訓練を「やるだけ」で終わらせない。いざという時に動けるための準備
防災訓練の日になると、決められた時間に館内放送が入り、みんなで外へ出る。
毎年やっている建物なら、流れを覚えている人も多いでしょう。担当者側も慣れてくるので、以前よりスムーズに終わります。
それ自体は悪いことではありません。
ただ、あまりにスムーズだと少し気になることもあります。
本当に火事が起きた日も、同じように動けるだろうか。
訓練では分かっていた出口が煙で見えなかったら。いつも使う階段が使えなかったら。近くにいた人から「消火器どこですか」と聞かれたら。
年に一度の訓練だからこそ、予定通り終わることより、ひとつでも「分からなかったこと」が見つかるほうが収穫になる場合があります。
いつもの出口を使わないだけでも結構違う
普段の防災訓練では、参加者が同じ出入口へ向かいがちです。
毎日使っている場所なので当然なのですが、建物には別の避難経路が設けられていることもあります。
そこで一度、「この出口が使えなかったら、どこから出る?」と考えてみる。
実際に歩いてみると、思ったより単純ではありません。
非常口の場所は知っていたけれど、その先がどこにつながっているのか知らなかった。階段へ向かう途中に荷物が置かれていた。普段通らないため、扉の向こう側を初めて見た。
そんな発見が出てきます。
避難経路の確認というと堅く聞こえますが、要するに「いつもの道が使えない日の帰り道」を知っておくようなものです。
一度歩いたことがあるかどうか。その差は意外と大きいものです。
消火器は見えているのに、場所を覚えていない
職場や店舗の中に消火器があることは知っている。
では、「今いる場所から一番近い消火器は?」と聞かれると、すぐ答えられるでしょうか。
毎日その横を通っていても、普段使わないものは風景に溶け込んでしまいます。
発信機や屋内消火栓も同じです。
訓練の日に設備の細かな操作方法を全員で暗記する必要はありませんが、少なくとも自分が働いている場所のどこに何があるのか、一度見ておく意味はあります。
そのとき、設備の前に段ボールや備品が置かれていないかも自然と目に入ります。
「そういえば、ここ最近ずっと荷物置き場になっていたな」
訓練中にそんな話が出るなら、それも十分な成果でしょう。
台本にない質問を一つ入れてみる
いつも同じ訓練になってきたら、難しい内容を増やすより、条件を一つ変えてみる方法があります。
たとえば、
「給湯室から煙が出ていたら誰が最初に確認する?」
「お客様が店内にいる時間だったら誰が誘導する?」
「エレベーターの前にいる人にはどう声を掛ける?」
話してみると、担当が曖昧な部分が見えてくることがあります。
これは会社や店舗の規模でもかなり違います。
人数の多い事業所なら役割を分けやすい一方、小さな店舗では一人が通報と誘導の両方を考えなければならない場面もあるでしょう。
だから、立派な防災マニュアルを作ることだけが準備ではありません。
その建物、その人数で実際にどう動くのか。
一度口に出して話しておくだけでも、訓練の中身は変わります。
訓練のあとに5分だけ建物を見て回る
訓練終了。
「お疲れさまでした」で解散する前に、担当者だけでも建物の中を少し見て回ってみると、次につながります。
避難中に通りにくかった場所はなかったか。
非常口の周辺に物はなかったか。
誘導灯は見えやすかったか。
消火器の場所をすぐ見つけられたか。
ここで大げさな反省会を開く必要はありません。
気になったことを二つ、三つ残しておくだけで、次回はそこから確認できます。
毎年同じ手順を繰り返すより、「去年ここが気になったから今年見ておこう」が一つあるほうが、その建物に合った訓練になっていきます。
そして、その途中で消防設備の異常や使いにくい場所が見つかることもあります。
設備は設置されて終わりではありません。
いざという場面で使える状態にしておくところまで含めて、建物の備えです。
合同会社ワイオーテックでは、消防設備の点検や設計施工、修繕・リニューアルなどに対応しています。
防災訓練をきっかけに「この設備、一度見てもらったほうがいいかも」と気になる箇所が出てきたときは、お気軽にご相談ください。
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